ダーレンドルフ(Ralf Dahrendorf, 1929-2009)は、戦後ドイツの代表的な自由主義者で、社会科学者であり、政治の世界でも活躍した。彼の著作は数多く邦訳されているが、それでも彼の膨大な著作の一部にすぎず、統一的な全体像がわかりにくかったため、かなり誤解されて受け取られている。
本書は、彼の政治・社会理論を「自由」と「ライフチャンス」をキーワードに、半世紀にわたる彼の思想的営みを初めて体系化した書。今回の東日本大震災を機に、人と人を結ぶ絆のあり方がフォーカスされているが、それはダーレンドルフの掲げる「制度的」自由主義の方向性とかなり重なり合っており、その意味でも現代社会に生きる思想である。