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ジャンル:教育
 

受難の子ども
〜いじめ・体罰・虐待〜

[編著]宮寺晃夫

価格(税別): ¥ 1,800


概要

「いじめ」「体罰」「虐待」と呼ばれる子どもたちの “事件”が後をたたない。その「受難のこどもたち」の根源は普遍的に存在し、誰にでもふりかかる。誰もが加害者になり、被害者になりうる危うい構造のなかにある。個人の問題ではなく、社会全体の大きな問題である。
 2011年、滋賀県大津市の中学生が自ら命を絶った。同級生によるいじめを苦にしてのことだった。2012年、大阪市の高校生が自ら命を絶った。部活の顧問の教師による体罰を苦にしてのことだった。2013年、横浜市の雑木林で、6歳の女の子の遺体が発見された。母親の交際相手による虐待で死亡し、遺棄された。どうすれば「受難の子どもたち」を守ることができるのか。
 立場も考えも違う12人の執筆者が立ち上がった。苦しみに耐えている「受難の子どもたち」の背景を分析し、乗り越えるために、分かりやすく「具体的事例」を掲げ、社会学、思想史、心理学、教育学、哲学、比較法学などを駆使して、多角的に提言する。

目次

序章 時代と子ども〜「問題行動」と正しく向き合うために  
1 「問題行動」を定義し直す/2 ともに向き合うということ/3 時代をたどり直す/4 親たちはどういう友だちと一緒だったのか
第1部 子どもといじめ
第1章 なぜ、いじめは起きてしまうのか  
1 「自我」の欲望/2 自己不十全感/3 逃げ場のない教室空間/4 価値観の多様化/5 いじめはどうすればなくせるか
第2章 わが子がいじめにあったとき〜親の視点から 
1 子どもを守れなかった親の心情/2 学校の役割/3 子どもを救うために親ができること
第3章 「いじめ」をとおして、学び、つながる  
1 学級崩壊といじめの常態化/2 暴力に訴えるのではなく、話し合う関係への修復/3 いじめから目をそむけず考えあう/4 見えやすいいじめと、見えにくいいじめ
第2部 子どもと体罰
第4章 子どものいたずらと罰〜罰なき時代の暴力というアイロニー
1 絵本『もじゃもじゃペーター』/2 「文明化」の進行と忌避される罰/3 「高度な文明化」時代における子どもの受難
第5章 「暴力のない教育」への法制度改革〜ドイツの事例を中心に
ケヴィンの事例
1 法制度の犠牲からの脱却へ/2 子どもの権利の拡大、 親の権利の縮小の原則/3 ドイツにおける親の体罰権の廃止/4 世界の体罰禁止法制と子どもの権利/5 「暴力のない教育」法制化の後に/6 未来の法制度をつくる子どもたち
第6章 体罰の思想史〜教師の体罰はなぜ許されないのか  
ペスタロッチの事例
1 体罰否定の論理/2 羞恥の罰と自然罰〜ロックとルソー/3 徳育のための体罰と知育のための体罰〜ペスタロッチ/4 学校教育の普及と体罰〜ヘルバルトとデューイ
第3部 子どもと虐待
第7章 子どもの虐待と母親支援   
1 児童虐待と背景要因、母親要因/2 母親支援の実際〜考え方と方法/3 母親支援の今後
第8章 孤立する母親と児童虐待   
1 社会問題としての児童虐待/2 親権と児童虐待/3 子育て家庭における「母親」の現状/4 孤立する母親への支援をどう展開するか
第9章 児童虐待は家庭の問題なのか〜社会の責任を問う   
1 家族の変容と自由の増大/2  育児不安と児童虐待の社会問題化/3 個人化と社会的対応の課題
第4部 子どもの逸脱と排除
第10章 女子中学生の逸脱行動〜何が彼女たちを<援交>に誘ったのか
1 「援助交際」に至る動機/2 「援助交際」という手段をとる合理性/3 「援助交際」からの離脱へむけて
第11章 学校に入れない子どもたち〜北京市における「農民工」の教育問題
1 農民工の子どもと、義務教育政策/2 農民工の教育の実態/3 教育を受ける権利の不平等/4 おわりに
第12章 「社会的養護」の課題と問題〜土屋敦著『はじき出された子どもたち』を読む  
回想
浮浪児と社会的養護

書籍情報

  • ISBN-13: 978-4-86359-092-2
  • 発売日: 2015年2月9日
  • サイズ: A5判/並製
  • ページ数: 228頁

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