生活科は、1992年度から小学校の低学年で施行されました。当初から体験活動を重視して、子どもの学びをより豊かに形成することを意図して、これまでの教科とは異なった授業づくりが要求されてきました。20数年経って、学校教育に定着したものの、未だに指導が難しい教科だと巷では言われています。
本書はこれまでの生活科教育法のテキストと様相を変えて、子どもの学びや教師の悩みに応えようと、かゆいところに手が届くように書きました。それを可能にしたのは、著者が大学の教授職にありながら、教育現場にいるからです。著者は日本で初めて「特命教諭」として小学校と大学の2足のわらじを履いています。本書は、そこでの毎日の子どもとのやりとりを生活科の授業づくりに活かせるユニークな書です。
生活科の授業づくりでは、子どもの学びをとても大切にします。しかし、それは教えないで、子どもに気付かせるということではありません。教えるべきところはきちんと教えて、その上で考えさせます。考えるからこそ、気付きが生まれます。生まれた気付きを周りの子どもが共感したり、教師が価値を示したりすることによって子どもの学びが形成されていきます。
生活科はこれまでになく、子どもにとっても教師にとっても楽しく、嬉しい教科です。そのことを本書から感じ取り、明日の生活科の授業づくりに活かしてください。この本は読んでおもしろく、やってみると、さらに楽しくなります。あなたの教室が楽しさであふれることを期待します。