障害のある子どもを包摂し、障害のあるなしにかかわらず一人ひとりが大切にされる保育「インクルーシブな保育(一人ひとりを大切にした保育)」の必要性が叫ばれるようになった。地域を基盤とした共生社会のあり方を問うとき、社会を構成する人々の思想や価値観が影響を与える。幼少期から、障害のある子どもと障害のない子どもが共に育ち合う経験ができる保育の場の社会的役割と責任が大きくなっている。
保育の場では、今、障害の診断のある子どもだけでなく、気になる子ども等、多様な子どもの支援に対応することのできる能力・資質を兼ね備えた保育者が求められるようになってきた。
本書ではこうした現状をふまえ、障害のある子ども、気になる子ども等の発達に課題や偏りを抱えている子ども、さらにそれらの子どもを育てる家族への支援について、基礎的な知識を習得できる内容とした。
保育者を目指す学生に、近年の保育現場の現状と課題をふまえた上で、障害のある子どもの理解と支援のための知識、彼らを包摂した保育実践のあり方を提案している。
2017(平成29)年「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」が改訂(改定)告示、2018年4月より実施の改訂(定)に対応。半期15回の授業を想定し、15章構成。巻末に指針抜粋の付録。