保育という営みは、保育現場の外からでは中身が非常に見えにくい。小学校以上の教育とは違い教科書があるわけではないので、保育現場での活動が外に見えるのは運動会や発表会など、大きな行事くらいではないだろうか。そのため、いまだに幼稚園や保育所は子どもたちが毎日遊んでいるだけで、そこの保育者も子どもと一緒に遊んで、子どもが帰ったら仕事も終わる、と思い込んでいる人がいるようである。しかも、子どもと遊ぶことは楽なこと、たかが子どもだから簡単に関われる、という考えの人もまだまだ多いのである。
しかし、保育はそのように簡単なものではないことを、この本を手にしている方なら十分承知していることと思う。特に幼稚園や保育所、認定こども園のような保育現場において展開される保育は、さまざまな専門知識と専門技術、さらに豊かな感性と誠実な人間性を備えた専門家によって行われる専門的な営みなのである。
本書は、その専門性の一つである保育の計画について学ぶための本である。そして、最終的には自ら保育の計画を立て、実践できるようになることを目指している。実習につながる内容であると共に、将来保育者となったときにも身に付けておいてほしい基本的な事柄を多く含めたつもりである。有効に活用していただければ幸いである。