保育者を志す学生や現職保育者を対象として、保育内容の領域「言葉」について考え、実践していくための書。子どもたちにとって、言葉は人と会話をするために必要なものであるが、それだけではない。文字(書き言葉)にすることで、時間と場所を超えて人に気持ちや考えを伝えることができる。そして、それぞれの人の言葉の営みは、個人の人生を形作っていく一方で、様々な場所で文化を形成し、伝承されていく。言葉というものは、その時代、その地域の文化を形成するものであり、私たちは自分が生きている文化の影響を受けて発達していくものである。このように考えてみると、保育現場で行われていることの意味がまた違ったように見えてくるのではないだろうか。
幼稚園教育要領と保育所保育指針ならびに幼保連携型認定こども園教育・保育要領は、上記の例のように様々な視点から言葉を捉えている。本書はそれらの内容を網羅するように、以下の5つの要素で構成した。@保育における言葉とは何か、A言葉の発達、B言葉を育て
る環境、C言葉を育てる児童文化、D言葉に関する諸問題
2018年4月より実施の「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」改訂(定)に対応。半期15回の授業を想定し、15章構成。