“不安全感”のなかの中国――状況へ適応する国家から、状況をつくり出す国家へと転換するこの大国は、どこに向かおうとしているのか。本書は、その理解のために必要な、以下の3つの問いを立てた。

第1は「中国政治」をめぐる問い。中国共産党による一党支配は、なぜ持続してきたのか。

第2は「中国経済」をめぐる問い。共産党による一党体制の下で中国は、なぜ経済成長を持続してきたのか。

第3 は「国際政治」をめぐる問い。中国は、どのような国際秩序を必要としているのか。そのために、どのように「力」を使おうとしているのか。

以上を全13章にわたって、12人の研究者が多角的に問いかける。

【第１部】なぜ支配は持続してきたのか―中国共産党の統治能力とその行方
第1章：中国共産党一党支配をめぐる問い
第2章：毛沢東時代の遺産と中国社会
第3章：中国共産党と国有企業
第4章：中国共産党と人民解放軍
第5章：中国共産党とメディア
第6章：中国共産党と司法

【第2部】なぜ発展は持続してきたのか―高度成長の原動力とその行方
第7章：中国共産党と制度選択
第8章：中国共産党と民営企業家

【第3部】「力」をどう使うのか―国際秩序への影響力
第9章：「米中対立」という国際関係と中国外交
第10章：南シナ海へ進出する中国の狙いとその影響
第11章：「国家統一」に向けた力（パワー）の行使
第12章：米国の対中政策
第13章：「科学技術大国」中国はその力をどう使うのか