(「はじめに」より)
私自身、幼稚園から高校までこれまで何度も聞いてきた校長式辞。
大変失礼ながら、何も記憶に残っていない。いい話もあったかと思うが、形式的で退屈だったという記憶しかない児童生徒にとっては当該学校での一生に一度の入学式・卒業式。校長にとっても、一年でもっとも保護者のビデオがまわり、スポットライトの当たる瞬間である。せっかくやるなら記憶に残るメッセージを子どもたちと保護者に贈りたいと考えるようになっていった。
そのために、ちょっと変わった校長式辞の方針を立てた。
ちょっと変わった校長式辞の方針
1 来賓への挨拶は一切やめる→入学式も卒業式も来賓のためにあるのではない。主人公のことだけを考える。
2 卒業式ではつらつらと学校生活の思い出を語らない→たいていは送辞・答辞で児童生徒が語ってくれる。
3 時候の挨拶をしない→桜がつぼみでも咲いていてもそんなものは本質的なことではない。
4 祝意の後、一つのテーマを冒頭からストレートに語る→時短のため。
5 8〜10分を目安にする→いい話も長いと嫌がられる。経験上。
6 覚えてほしいキーワードを繰り返す→とにかく子どもたちの記憶に残るように。
7 学術的知見(哲学・心理学他)に触れる→ただの説教にしないために。
8 学術的知見をわかりやすい言葉に替える→難しすぎては記憶に残らない。
1〜7は比較的容易に実行できたが、いつも苦労したのは8であった。